マドプロ出願にするか悩んだときの検討ポイント

日本の企業が外国へ展開するにあたって、社名、商品名やロゴマークなどを外国で商標登録したいとき、手続きとしては大きく分けて二つの方法があります。

1.マドプロ出願(国際登録出願、マドプロとも言います。)
2.直接出願

それぞれを簡単にご説明すると、、、

【マドプロ出願の概要】

日本での商標登録出願または商標登録を基礎として、世界約120か国の議定書締約国の中から商標登録したい国(指定締約国と言います。)を適宜選択して出願を行います。
出願後、国際事務局から「あなたの国が指定されました」という連絡を受けた国がそれぞれ審査を行い、問題がなければ登録され、その国で類似商標が既に登録されているなど問題があれば国際事務局を介して通知(暫定拒絶通報と言います。)を受け取ります。
暫定拒絶通報を受けた場合は、現地の弁理士を専任して、意見書や補正書の提出といった対応を行います。

【直接出願の概要】

日本での商標登録出願と同様に、商標登録したい国ごとに現地の弁理士を専任して、国ごとに出願を行います。

マドプロ出願と直接出願の概要は、以上のとおりです。

それでは、直接出願と比較した場合のマドプロ出願のメリットとして一般的に挙げられる点を整理します。

【マドプロ出願のメリット】

①手続きが簡単
②費用が安い
③権利化が早い
④登録後の権利の管理がしやすい
⑤指定締約国を後から追加できる

以上のように、マドプロ出願のメリットとしてたくさんの点を挙げることができ、いずれの点も細かいことを抜きにすれば正しいです。

そのため、外国で商標登録したいとき、マドプロ出願はぜひ検討したい方法です。

ただ、マドプロ出願には注意したい点・弱点もあります。

マドプロ出願について注意したい点・弱点として弊所がよくご説明するのは、例えば以下の点です。

【マドプロ出願について注意したい点・弱点】

①出願後、審査対応の段階になって五月雨式に暫定拒絶通報への対応(とそれに伴う費用)が生じることがある
②出願だけでなく審査対応や登録後まで長い目で見ると、指定締約国がそれなりに多くないと(目安としては5か国以上)、実は費用面のメリットは薄い
③米国や中国など、実は直接出願した方が審査が早い国が少なくない
④台湾や香港など、出願ニーズが高いにもかかわらずマドプロ出願できない国が意外とある
⑤暫定拒絶通報がなされなければ、その国においては現地の弁理士が不在となるため、いざ不使用取消審判への対応や後願への異議申立てなどの必要が生じた際に十分な検討時間を確保しにくい
⑥セントラルアタックのリスクは決して侮れず、また、特許や意匠と異なり、商標は本来であれば基礎出願・基礎登録の拒絶・取り消しなどに振り回される必要がない
⑦中国など、商標登録証が発行されない国がある

以上のように、 マドプロ出願は注意したい点・弱点も少なくありません。

もっとも、どの程度注意すべきか、また、どの程度の弱点と言えるかは、案件により様々です。

例えば、事業計画などによっては審査が早いことが必ずしも良いとは限りませんし、仮に日本の基礎出願が登録できなかったときにはブランド戦略の理由から外国も含めてネーミングを変更するつもりである、といったケースもあります。

そこで、マドプロ出願にするか悩んだときの検討のポイントとしては、商標登録したい国をリストアップした上でマドプロ出願と直接出願の費用を長い目で比較しつつ、 上記のような注意したい点・弱点の影響・リスクの度合いを個別に検討した上で総合的に判断することが大切です。

弊所では、安易にマドプロ出願をおすすめすることはせず、事業計画、予算、外国出願の経験、商品分野・サービス分野の性質、商標登録において重視することなどをヒアリングした上で、マドプロ出願と直接出願のどちらが適しているかを十分に検討し、ご提案しています。

外国での商標登録をお考えのときは、石原国際特許事務所までお気軽にお問い合わせください。

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