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商標の基礎知識
これまでご説明した特許制度・実用新案制度・意匠制度は、全て「創作」を保護することを根幹としています。これに対し、商標制度は、商標を使用する者の「業務上の信用」を保護し、もって「産業の発達」に寄与し、「需要者の利益」を保護することを根幹として成り立っています。
つまり、ある商品やサービスについて長年使用された結果、あのロゴマークの付いた商品やサービスであれば間違いない、といった「業務上の信用」が化体するに至った商標を保護することで、有名なロゴマークの無断使用といった不正な競争行為を抑止して「産業の発達」を図り、併せて、無断使用された商標が付された粗悪品を購入してしまうといった不利益の無いように「需要者の利益」を保護すること、を根幹として成り立っていると言えます。
商標制度は「業務上の信用」を保護することを根幹としていることから、商標登録の対象については、「業務上の信用」が蓄積するものである必要があります。
具体的には、文字、図形、記号など商品・サービスの目印となるもの(これを標章と言います)であって、その商品を販売したりサービスを提供するものがその商品やサービスについて使用するもの、である必要があります。
たとえ商標登録の対象に該当しても、商標登録を受けるために必須となる要件が存在します。
まず、識別力を有さないものとしては、具体的には以下の6つが挙げられます。
次に、不登録事由の具体例としては、以下のような事由が挙げられます。
商標登録を受けた者は商標権者となり、登録を受けた商品・サービスについて登録商標を使用する権利を専有します。
つまり、登録を受けた商品・サービスについての登録商標の使用を自らが独占して行うことができ、第三者が正当な理由や権利(権原)を有さないにも関わらずその商品・サービスについて使用することを排除することができます。 これにより、第三者が正当な理由や権利(権原)を有さないにも関わらずその商品・サービスについて使用する行為は商標権の侵害となり、商標権者は、その行為を中止させる権利(差止請求権)やその行為によって生じた損害を賠償させる権利(損害賠償請求権)を有します。 もちろん商標権の効力(効果)はこれらに止まらず、商標権について使用権を設定したり、それによってライセンス料を得るといったことも、商標登録を受けることによって可能となります。 商標権は、商標権の設定登録の日から10年で満了しますが、その後も更新することが可能であるため、半永久的な権利となります。 |
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