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意匠登録出願の基礎知識

概要

これまで意匠登録の対象となる意匠や意匠権の効力について説明しましたが、意匠権は、「意匠登録出願」を行って意匠登録を受けた意匠に対して与えられる権利です。従って、意匠権を取得するためには、必ず意匠登録出願を行う必要があります。
日本における意匠登録出願から意匠権取得までのおおまかな流れ(フローチャート)は、以下のとおりです。

design

関連意匠制度

ある意匠が、先に出願されている意匠と同一でないとしても、その意匠と類似の意匠に該当すれば、原則として意匠登録を受けることができず、これは、先の出願と後の出願の出願人が同一であっても同様です。
これにより、相互に類似する意匠についてそれぞれ意匠権を取得することはできないことになりますが、デザイン開発の場面においては、1つのデザインコンセプトから同じようなデザインが複数創作されることも少なくありません。
そこで、こういったバリエーションのデザインを効果的に保護するために設けられたのが関連意匠制度です。

この制度は、同一の出願人であれば、一定期間、類似する関係にある意匠について意匠登録出願することを可能にする制度です。
この制度を活用することにより、1つのデザインコンセプトから創作された複数のデザインについて、それぞれ独自の意匠権を取得することが可能となり、バリエーションのデザインを包括的に保護することが可能となります。

ただし、重複する意匠権が複数存在することになることから、意匠権の満了日は全て同一となったり、それぞれの意匠権を分離して移転することができない、といった制限が課されます。

組物の意匠制度

意匠登録出願は、原則として一つの物品のデザインごとにしなければなりません。
これにより、いわゆるシステムデザインなど、複数の物品を組み合わせて完成するデザインについては意匠権を取得することはできないことになりますが、デザイン開発の場面においては、複数の物品を組み合わせて完成する、いわゆるシステムデザインが創作されています。
そこで、一つ物品ではなく、複数の物品の組み合わせによって完成するデザインを保護するために設けられたのが組物の意匠制度です。

この制度は、同時に使用される二つ以上の物品であって、それらの組み合わせによって完成するデザインが統一性を有する場合には、全体で一つの意匠とみなし、意匠登録出願することを可能にする制度です。
ここで、「統一性を有する」と認められるパターンとして、以下の類型が挙げられます。
  1. 構成物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合が、同じような造形処理で表されている
  2. 構成物品が全体として一つのまとまった形状又は模様を表している
  3. 各構成物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合によって、物語性など観念的に関連がある印象を与えている
なお、同時に使用される二つ以上の物品であっても、経済産業省令で定められている物品に該当しない場合には、組物の意匠制度を利用することができません。
経済産業省令には、以下のようなものが定められています。
  • 一組の洗面用具セット
  • 一組の薬味入れセット
  • 一組のドラムセット
  • 一組のオーディオ機器セット

秘密意匠制度

意匠登録出願は、「意匠登録を受けるための要件」でご説明した「新規性」や「先願主義」との兼ね合いから、原則として製品が市場に流通する前に行わなければなりません。
一方、意匠は物品のデザインであることから、一度他人が目にすれば容易に模倣や盗用することが可能であり、製品のデザインを発売日まで秘密にしておくことは、販売戦略の上でも非常に重要です。
そこで、出願人の請求に応じて、通常であれば意匠権の設定登録に伴って公開されてしまう出願の内容を、一定の期間に限り秘密にしておくことを可能にするために設けられたのが秘密意匠制度です。

ここで、請求することのできる期間は、最長で意匠権の設定登録の日から3年間と定められており、秘密にすることの請求は、以下のいずれかの時に行う必要があります。
  1. 意匠登録出願と同時
  2. 第1年分の登録料の納付と同時
また、請求した期間中であれば、その期間を延長又は短縮することができます。

なお、秘密にすることを請求する場合は、特許庁に納める手数料が別途必要となります。

動的意匠制度

意匠登録出願は物品のデザインについて出願するものですが、物品によっては、それ自身の有する機能に基づいてデザインが変化するものがあります。
びっくり箱はその一例であり、時々刻々と変化する一連のデザインについて意匠権を取得するためには、変化の前後に亘る意匠の全てを出願しなければならず、現実的ではありません。
そこで、デザインが物品の有する機能に基づいて変化する場合、変化の前後に亘るデザインを一つの意匠として保護するために設けられたのが動的意匠制度です。

これにより、意匠登録出願の際、変化の前後に亘るその物品のデザインについて意匠登録を受けたい旨とその物品の当該機能の説明を願書に記載することにより、一つの意匠登録出願で変化の前後に亘るデザインを出願することが可能となります。

この制度は、物品が、変化後のデザインが元のデザインから容易に想像できないものである場合やデザインの変化が独創的である場合、非常に有益となる制度です。

部分意匠制度

意匠登録出願は、物品の全体のデザインを出願することが基本ですが、必ずしも全体としてのデザインに特徴があるわけではなく、物品の一部分のデザインのみ特徴を有するケースもあります。
このような場合、物品の全体のデザイン単位で意匠権を取得しても、一部分の特徴的なデザインを模倣しつつも全体のデザイン単位で比較すると類似とは言えない巧妙な模倣品に対しては意匠権の効力が及ばない、という不合理が生じていました。
そこで、物品の一部分であっても特徴的なデザインであれば保護し、その一部分のデザインについての模倣を有効に防止するために設けられたのが部分意匠制度です。

これにより、例えばマウスのボタン部分のデザインが特徴的である場合、その特徴的なボタン部分のデザインを模倣している製品であれば、マウス全体としてはデザインが異なる場合でも意匠権を行使することが可能となります。

この制度は、エアコンの吹き出し口や携帯音楽プレーヤーの操作部、自動車のヘッドライトや筆記具のグリップ部分など、物品の一部分のデザインがポイントとなる製品について意匠権を取得する際、非常に有益となる制度です。